金融検査マニュアルとは、その名のとおり、金融庁の金融検査官のために作られたもので、金融庁が銀行の金融検査に入る時に使用する「金融検査官のための手引書」のことです。 金融検査マニュアルはそれぞれの銀行にも常備されており、その内容は銀行の健全性をチェックするためのもので、そのチェック項目は非常に多岐にわたっています。 金融検査マニュアルの構成を簡単に説明すると、 1.法令等遵守態勢 2.リスク管理態勢 @信用リスク A市場関連リスク B流動性リスク C事務リスク、システムリスク となっており、一見「たいしたことないじゃない」という感じなのですが、これが中身は非常に細分化され、複雑になっているんです。(金融庁の金融検査が入ると、銀行員はみんな泣きたいくらい大変になります) これらすべての内容を説明してもどうにもなりませんが、この金融検査マニュアルのなかで融資に関連した部分が「@信用リスク」です。 信用リスクは、さらに「信用リスク管理態勢の確認検査用チェックリスト」と「信用リスク検査用マニュアル」に分かれ、この「信用リスク検査用マニュアル」の一部に「自己査定に関する検査について」という項目があり、この項目こそがそれぞれの銀行が独自に作成した「自己査定マニュアル」となるわけです。 とても簡単に説明しているつもりですが、聞きなれない言葉ばかりで大変ですよね。 だからここでは金融検査マニュアルとは、金融庁の金融検査官のために作られたもので、金融庁が銀行の金融検査に入る時に使用する「金融検査官のための手引書」である、ということだけ覚えておいてください。 ちなみに「信用リスク」とは、信用供与先(融資先)の財務状況の悪化等により、銀行の資産(貸出金)の価値が減少あるいは消失し、銀行が損失を被るリスクのことです。早い話が、融資先の財務内容が悪ければ、貸出金の一部(価値の減少)、あるいは全額(消失)を回収できなくなる可能性があるという、銀行のリスクのことです。 このリスクを回避するために、金融庁は金融検査マニュアルにより「信用リスク態勢」の構築をかかげ、それに対応すべく銀行は「自己査定マニュアル」を作成したわけですね。 これが金融検査マニュアルについての説明ですが、ここでもうひとつ重要な説明があります。 平成11年4月に金融庁が発表した金融検査マニュアルにより、不良債権の削減や早期処理を求められた銀行は、リスク回避と資産査定を厳格化する方向へ進んだため、結果的に中小企業、零細企業、個人事業主への「貸し渋り・貸し剥がし」の現象が発生しました。 資産査定とは、貸出金の審査や管理が適切であるか、融資先の財務内容に問題はないかなどをチェックすることです。銀行にとって貸出金は「資産」、預金は「負債」ですから、貸出金の内容をチェックすることを資産査定というわけです。 こうして資産査定が厳格になり、「貸し渋り・貸し剥がし」の現象が発生したために、これらの現象を是正するために公表されたのが、「金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)」なのです。 金融検査マニュアルは大企業の資産査定を前提としていたため、画一的にそれを中小企業、零細企業そして個人事業主に当てはめて査定した場合、これらの融資先の真の実態を把握することができないとの批判に対応するために公表されたもので、銀行はこれら中小企業等の査定にあたっては柔軟な評価をすべきであるとしています。 金融検査マニュアルにより、銀行の中小企業等への過剰な貸し渋りがはじまり、それを補完すべく平成14年6月に「金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)」が発表され、そして平成16年2月には「金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)」が改正され、現在に至っています。 そして、この「金融検査マニュアル」こそが、「自己査定マニュアル」の枠組みになっているのは、さきに説明した通りです。 ◆金融庁の金融検査について(余談です(*^_^*)) 金融庁の金融検査について少しだけお話しますね。金融庁の金融検査って、きっと皆さんはどういうものか想像もつかないでしょうから。 金融庁の金融検査は、平成16年度においては都銀は全行に検査に入り、立ち入り検査日数49.8日間、25.9人の検査官を投入しています。地銀・第2地銀は112行中60行に検査に入り、立ち入り検査日数27.2日間、11.4人の検査官を投入、信用金庫は298金庫中156金庫に検査に入り、立ち入り検査日数17.5日間、6.3人の検査官を投入、信用組合は175組合中66組合に検査に入り、立ち入り検査日数20.1日、5.4人の検査官を投入しています。(金融機関の総数はいずれも17年3月末のものです。「金融庁ホームページ」より) 金融機関の規模が小さくなればなるほど、立ち入り検査日数も検査官の人数も減少しています。そして、ここでいう「立ち入り検査日数」とは、金融検査官が金融機関の現場に検査に入っている日数であり、その金融検査のために銀行が事前に資料を作成する日数を加えると、総体的な検査日数は立ち入り検査日数の2倍くらいになるのではないでしょうか。私が信用金庫に在職していた時も、検査の総日数は1ヶ月くらいありましたから、融資担当者にとっては本当に負担が大きいですね。 基本的に地銀以下の金融機関には、金融検査は2年に1度くらい入りますが、同様に日本銀行による「日銀考査」という検査も2年に1度くらいあります。ですからほとんど毎年、多い年には年2回も検査が入ることがあります。 そのほかにも年に一度、銀行の本部検査というのもありますから、年がら年中、「検査、検査、検査…」というのが、融資担当者の実感ではないでしょうか。 そしてそれぞれの検査が終了したあとには、検査で不備を指摘された事項についての是正(改善)報告書の提出がありますし、融資担当者は本当に大変です。 ということで、もし取引銀行に金融庁の金融検査などが入っている時には、できれば融資相談や融資申し込みは、ズラせるものならズラした方がいいというのが現実です。(検査時は融資担当者に精神的なゆとりがありませんから) もちろん、ズラすことのできない相談や申し込みもありますから、そうはいかないのも現実です。だからこそ、そんな忙しい融資担当者と「銀行融資獲得交渉」をするためには、きっちりと戦略を持って交渉しなければなりません。この戦略に関しては、無料レポートでも説明していますので参考にしてください。
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