ここでは、財務内容に多少の問題があっても債務者区分が「正常先」と判定されるケースを見てみましょう。 下記の要件に該当する債務者は、金融検査マニュアルにおいても債務者区分を正常先と判定しても基本的に問題はないとしています。 1)創業赤字の場合 創業赤字(創業以降5年程度が目安)でも当初事業計画と大幅な乖離がない債務者。 当初事業計画と大幅な乖離がない場合とは、当初事業計画が債務者の業種、事業内容、事業規模等からして合理的なものであり、かつ、事業の進捗状況と当初事業計画を比較して、実績が概ね事業計画通りであり、その実現性が高いと認められる債務者をいいます。 具体的には、黒字化する期間が5年以内、かつ、売上高および当期利益が事業計画に対して70%以上確保されている債務者をいいます。 2)赤字の原因が一過性の場合 赤字の原因が固定資産の売却損など一過性のものであり、短期間(1〜2年内)に黒字化することが確実と見込まれる債務者。 金融検査マニュアルには「翌期には黒字化することが確実…」と「翌期」と記載されていますが、実際には「1〜2年内」でも確実に黒字が見込まれる場合には正常先と判定されます。 3)多額の役員報酬による赤字の場合 中小・中小零細企業で赤字となっている債務者で、赤字となっている原因が多額の役員報酬の支払であるなど、企業の経営実態を判断するにあたり、代表者を含む役員の収入および資産内容と一体として判断することが適当と認められ、かつ、代表者等の保証状況および保証能力、資産内容等を総合的に勘案した結果、回収可能性について特に問題がないと認められる債務者。 こういうケースは結構多いですね。とくに中小零細企業の場合、銀行融資を獲得するために代表者やその家族の所有資産等を担保に入れているのが実態です。 一方、会社の利益を最低限まで引き下げて、代表者やその家族への役員報酬あるいは給料を多くするケースもあります。 すなわち中小零細企業の場合、会社という法人の形態はとっているものの、実態は会社と代表者とその家族を一体として考える必要があります。 このことは、金融検査マニュアルにも記載されており、会社の貸借対照表や損益計算書に代表者やその家族の資産・収入等を一体化し、補正をしたうえで自己査定をする必要があるとしています。 それでは、会社の貸借対照表や損益計算書に代表者やその家族の資産・収入等を一体化するとはどういうことか、ということについては別に説明します。
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