自己査定は、銀行が信用リスクを管理する手段であるとともに、適切な償却・引当を行うための準備作業でもあります。 いいかえれば、資産(貸出金等)の不良化により、銀行がどの程度の危険にさらされているかを判定するものであり、結果として正確な自己資本比率を算出するための大変重要な作業になります。 みなさんもご存知のように、銀行は自己資本比率に関しては非常に敏感です。国際統一基準(海外にも支店等のある銀行)では自己資本比率8%、国内基準(国内にのみ支店等のある銀行)では自己資本比率4%を下回った場合には、行政当局から業務改善命令や業務停止命令といった厳しい措置を受けることになります。 いまでは国内基準の銀行でさえ、自己資本比率が8%未満では「合併」の対象となり得るとの危機感さえあります。 何度も言いますが、自己査定は銀行が自己責任の原則にもとづいて、自ら行なう資産査定です。債務者ごとの個別の貸出金等を、回収危険度や価値の毀損状態を信用リスクの度合いに応じて、それぞれの「債務者区分」にランク分けをするものです。 債務者区分の判定は、銀行の利益や自己資本比率に直接影響するため、銀行にとっては経営という視点からも非常に大きな問題です。しかしそれと同様に、債務者区分される企業にとっても、今後の銀行との融資取引や企業の信用力に及ぼす影響はとても大きく、その重要度を深く認識しなければなりません。 債務者区分のランクによっては、新規融資の実行はもちろん不可、場合によっては回収オンリーの取引にさえなりかねないのです。 したがって、このような観点からも銀行が融資先の経営改善に積極的に取り組むことは、融資先である企業の経営力を強化することになり、これは銀行にとっても自らの資産(貸出金等)改善という意味からも重要な経営課題となっていると言えます。 自己査定を実施する基準日は、銀行の場合は9月末日と3月末日の年2回、信用金庫や信用組合は3月末日の年1回となります。基本的には決算期末日です。 しかし、実務的には決算期末日での自己査定は困難です。(決算業務とも重なるため)そこで、仮基準日を設けて自己査定を行っているのが一般的です。この仮基準日は金融検査マニュアルにおいて、原則的として決算期末日の3ヶ月以内とされていますので、3月末日の自己査定については、12月末日を仮基準日として自己査定を実施します。 仮基準日から決算期末日までに、債務者区分を変更しなければならない事象(貸出金の条件変更や倒産等)が発生した場合には、後発事象として債務者区分や債権の分類区分・分類金額等の修正を行なわなければなりません。 時には決算期末日以降でも、決算が確定するまでの間に発生した重大な後発事象(倒産等)に関しては、会計監査人との協議により債務者区分や分類金額等を修正し、決算に反映させることもあります。それだけ正確な自己資本比率の算出を銀行だけでなく、金融庁も求めているということです。
≪特別無料レポート≫ 信用金庫の融資担当者だったから知っている!借りられる会社・借りられない会社 (e-Book PDF A4版 40ページ)