ここでは、企業が事業計画を立てる場合に、自社の市場規模やその環境を把握するために
どういう調査を行なっているか説明します。
■市場・市場規模とは
一般的に市場規模とは、「製品やサービスに対して顕在化した顧客と潜在的な顧客のすべての集合体」と捉えられています。
つまり、自社が提供・販売している製品やサービスに対して、すでに存在している顧客の数と今後その製品やサービスに対してどの程度の需要が見込まれそうかを考え、ここで予想された顧客の数を合わせたものが「市場規模」となります。
また「市場規模の調査」といった場合には、市場の大きさに加えて、その製品やサービスの市場での位置付けと成長性、顧客ニーズ、競合他社との動向といった自社を取り巻く外部環境などを検討することになります。
■市場規模の調査方法
今回は市場規模として、市場全体の潜在的需要、一定地域市場の潜在的需要を推定してみます。
@市場全体の潜在的需要
ここでは、ある一定期間に業界全体が得ることができる最大の売上高を求めます。
この場合、買い手の潜在的な人数に一人当たりの平均購入数を掛けて、さらの平均価格を掛けます。
たとえば、A製品があって、その平均小売価格が250円、一人当たりの年間平均購入回数を3回とします。
日本の人口を仮に1億3000万人とし、そのうちA製品をまったく買わないと思われる人数をここから除きます。たとえばA製品が化粧品であれば、一般的に男性(人口全体の49%)は買い手になることはなく、女性でも0〜14歳のグループ(15%)も自分で買うことはないとします。
すると、買い手としての可能性のある潜在的顧客は5635万人であり、市場全体の潜在的需要は「5635万人×250円×3回=1410億円」ということになります。
さらに精度を高めていくには、A製品やサービスを購入する(しない)グループ、購入する回数や価格に、調整するための掛け目を細かく設定すればよいわけです。
A地域市場の潜在的需要
ほとんどの中小零細企業では、限られた地域(商圏エリア)で事業を展開するケースがほとんどであるため、自社が事業展開していく市場の潜在的な需要を調査することが重要になります。
代表的な調査方法としては、BtoB(企業と企業の間での取引)を主とする企業において用いられる「市場積上げ方式」、BtoC(企業と個人の間での取引)を主とする企業で用いられる「複数要素指数法」があります。
市場積上げ方式では、各地域市場の潜在的な買い手を選定して、それらの買い手がどの程度購入するかを一定の基準を設けて算出します。
たとえば、ある機械の地域における潜在的な需要を検討する際には、まずその機械を利用する業種を特定します。
業種によってその機械の使用機会と頻度は異なるわけですから、たとえば売上高がいくら以上であればその機械を年間何台購入するといった具合に、基準を業種ごとに決めます。
そして地域内における業種ごとの企業とその売上高ごとに基準となる台数を掛けて、すべての業種から算出された合計台数がその地域における潜在的な需要となります。
また、その台数に1台当たりの金額を掛ければ、金額での市場規模となるわけです。
複数要素指数法では、ある製品の需要が複数の要因によって決まると仮定しています。
たとえば、ある製品は小売店舗数、世帯数、戸建住宅数といった要素によって売上高が決まるとします。
次にそれらの要素の重み付けを決めます。(重み付けの合計は1となる)
複数要素指数法の算出例
| |
シェア |
重み付け |
計 |
| 小売店舗数 |
3.0 |
0.3 |
0.9 |
| 世帯数 |
1.5 |
0.2 |
0.3 |
| 戸建住宅数 |
5.0 |
0.5 |
2.5 |
合計3.7
ここでは、小売店舗数の重み付けを0.3として、世帯数を0.2、戸建住宅数を0.5と仮定します。
その地域が、所在する都道府県の小売店舗数の3%、世帯数の1.5%、戸建住宅数の5%を占めているとすると、この地域の潜在的な需要指数は「0.3×3.0+0.2×1.5+0.5×5.0=3.7」となります。
したがって、この地域における製品の売上高は都道府県全体の3.7%になるわけです。
(上記の表を参考にしてください)
|