財務計画は大きく損益計画と資金計画に分けられます。 ここでは、それぞれのチェックポイント、そして最後に財務計画の短期モニタリング計画のチェックポイントについてみていきます。 ■チェックポイント@ 【損益計画】 損益計画は、事業計画の経営ビジョン等の成果目標、過去の推移、現在の状況等から、特別な活動をしなかった場合、どのような推移をたどるかを固めに想定します。 そのうえで、中期・短期事業計画の活動内容を慎重に検討し、成り行きの推移をどれだけ向上させられるかを見積もることにより作成されます。 その際、中期・短期事業計画の活動から考えられる期待値的な業績の向上を見込んでしまうこともしばしば見受けられますので、注意が必要です。 活動計画が8割程度実行されたものとして、どのくらいの業績向上につながるかを考え、できればその会社の現場従業員の意見などを聞きながら数字をチェックすると良いでしょう。 また、収益については可能な限り細かく分類して計上することが望まれます。 たとえば店舗や事業部ごとに検討するとか、売上高を売上数量と売上単価に分けて検討することによって、安易な計上が避けられるからです。 したがって収益の向上については、損益計画の数字を鵜呑みにするのではなく、どうして増加するのか、内訳はどうなっているのかなどを細かく社長等に確認することが大切です。 一方、コスト削減活動は、収益向上活動より実現性が高いと考えられます。 しかし、コスト削減効果についても、活動を始めればすぐに効果が現われるものではありません。そこで、活動を始めた時期から削減効果を計画に盛り込むような安易な見積もりが行なわれていないか注意をします。 特に従業員のリストラについては、退職金の支払い等で一時的にコスト増となることもありますので十分確認することが大切です。 またコスト削減が利益に及ぼす効果は、変動費と固定費でかなり異なってきます。 ですから、削減されるコストが変動費なのか、固定費なのかもよく確認し、変動費であれば、売上の増減も考慮して計画に計上されているかチェックしなければなりません。 コストは、ただ単に削減できるものはそれほど多くありません。広告費を抑えれば売上に影響がでるかもしれませんし、車の台数を減らせば電車やバス等の旅費交通費やレンタカー代等の賃借料が増えるかもしれません。 このように、あるコストを削減することで、かえって増加してしまうコストがないかチェックすることも必要です。 個々の数字のチェックについては以上ですが、損益状況、とくに利益水準等は同規模他社の状況と比較するとか、「中小企業の経営指標」等で同業の指標とかけ離れていないかをチェックすることも有効な方法です。 ■チェックポイントA 【資金計画】 資金計画は、基本的には損益計画が適性に作成されており、損益計画とリンクした内容になっていれば大きな問題はないでしょう。 したがって、まずは直近の損益計算書と貸借対照表から売掛金や受取手形などの受取勘定回転率や支払勘定回転率等を確認し、売上計画等の水準と売掛金や受取手形等の回収額、支払手形、買掛金の支払額が妥当な水準で計上されているかを確認し、損益計算書とリンクしたものになっているかチェックします。 もし、損益計算書と大きく異なっているようなら、その原因となる活動が計画されているかも確認しなくてはなりません。 そのうえで、はっきりしない数値が計上されていれば、社長等にその理由をよく聞き、無理のない計画かどうか判断する必要があります。 このほかには、借入金の調達・返済等がチェックポイントとなります。返済が計画されているのなら、資金調達がどのように行なわれているのかを確認しなくてはなりませんし、借入が計画されているのなら、金融機関からの借入が可能かどうかを確認しなくてはなりません。 もしも借入が難しいようであれば、場合によっては事業計画も含めて計画自体の修正の検討を促すことが必要となるでしょう。 個々の数値の大きなチェックポイントは以上ですが、資金計画の場合は資金計画自体をよくチェックしなくてはなりません。 というのも、会社の資金は人間の血液みたいなもので、足りなくなると命取りになってしまうからです。そこで、手持資金の水準に問題はないか、設備計画など長期的な投資がある場合には、自己資金や長期資金での対応について、資金バランスを的確に考慮しているかといった点が大切なチェックポイントになります。 最後に短期モニタリング計画のチェックポイントを考えてみましょう。 短期的な業績管理の方法としてよく行なわれているものは、月次試算表や月次資金繰り表による経営モニタリングです。 また、多くの会社で営業活動の訪問件数や提案件数、営業社員別・商品別販売実績などを営業会議でモニタリングしています。 このようなモニタリングも大切なのですが、より重要なモニタリングは、短期活動計画で計画した活動のモニタリングです。 事業計画をうまく実行するためには、この短期活動計画で計画に組み込んだモニタリング指標について、スケジュール通りのモニタリングポイントでモニタリング活動を行なうことです。 ここでいうモニタリングとは、計画の実行状況を把握し、活動状況が不十分であったり、計画通り活動は行なわれているものの、モニタリング指標が目標値に達していないことでペナルティを与えるといったものではありません。 このようなモニタリングを有効に行なうためには、たとえば次のように期間に応じてリーダーと参加メンバーを決め、当初計画されたスケジュール通り実施することが大切です。 ・週間レベルでは活動現場の従業員が打ち合わせを行なう ・月間・四半期レベルでは関連するセクションの課長等も含めて会議を行なう ・半期・年間では社長や役員を含めて会議を行なう 各レベルで、頻繁にモニタリングを行なうことにより、活動がうまくいっていない場合には、早いタイミングで対策の検討が行なえるわけです。 また当然ですが、半期や1年毎のモニタリングでは、モニタリング指標ばかりでなく、その活動の目標となる業績評価指標のチェックがきちんと行なわれており、計画通りにモニタリング指標が推移しているものの業績評価指標が目標に達していない場合は、モニタリング指標自体の変更も含め、活動内容を大きく変更しなくてはなりません。 言うまでもなく、活動することが目的なのではなく、当初設定した目標を達成することが重要だからです。
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